HUNTER's LOG on PORTABLE

シーン一覧

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えー、ではまず「何でこんなことしてんのよ」という点をひとつ。
つまりこれは写生な訳です。何故写生をするのか。そりゃその風景を気に入ったからです。

アホみたいな話ですが、これは結構重要なことです。写生を趣味とする人というのは、無論絵画としてそれを描く腕を上げたい、というのもあるでしょうが、より純粋には上手下手は2次的な問題でして、その風景に自分が触れたことをより深く経験したいがために描くのです。

ゲームにおいて早い時期からその可能性を指摘されつつもあまり優れた前例の生まれない分野が「トポス」の問題です。トポス、というのは「場所・場」という意味ですね。対象とその対象の立っている「場」の関係を考察するのをトポス論といいます。ビデオゲームはそのグラフィック能力の向上につれそのトポスの重要性が増すはずだったのですが、多くのゲームでは、ステージは単に雰囲気を醸し出すための「背景」の役割に止まったままです。

「MYST」というシリーズがありましたが、あれはかなり良い線をいっていた作品だったでしょうか。でも、それ以降「そこから動きたくなくなる」ほどのトポスを形成したゲームというのは中の人の知る限りではないですね。モンスターハンターを除いて。

モンスターハンターのすごいところはMYSTのそれがぶっちゃけ「きれい」なだけだった観があるのに対して、その風景にその世界のありようとしての説得力を持たせるところにまでこぎ着けたことです(これは多分純粋に藤岡氏の力だと思います)。

モンスターハンターのトポスの持つ力。それはこのサイトの「モンスターハンター論」で論じるべき事柄なのでしょうが、生憎と言いますか幸いと言いますか、中の人は何を隠そうテキストの人ではなくイメージの人なのでした。
ということで、これは「もうひとつのモンスターハンター論」である、と言えるでしょう。もっとたくさんのあの世界の様子が描かれていったら、中の人がモンスターハンターのトポスに何が見たいのか、あの世界が何を見せてくれるのか、そんなことが浮かび上がってくると思います。

それがなったら、モンスターハンターのトポス論を「書ける」日も来るでしょうか。

ちなみにこのグラフィックはすべて「e frontier社」から販売されている「Vue 6 easel」という景観作製ソフトを使用して描かれています(時々同社の3Dグラフィックソフト「iShade」によるものも混じります)。

「easel」というのはこのシリーズ中もっともエントリー向けとなっておりまして、高度な機能が制限されている代わりにプロフェッショナル向けの 1/10くらいの値段で買えますね(1万円ちょっと)。機能が制限、と言ってもここに載ってるくらいのものは描けるわけで夢を描くキャンバスの値段と思えば安いもんでしょう。

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