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HUNTER's LOG on PORTABLE

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明日へ架ける橋(習作−2)

初出:2007.00.00 HUNTER's LOG on portable

本来の予定を変更して、「モンスターハンター」に関する考察を続けます。このサイトの本分からは少々逸脱していますし、狩猟録をお待ちの方には余り面白くない展開かもしれませんね。
でも、シリーズそのものが少々正念場を迎えてるきらいがあり…(最大限柔らかく言って、ですが)…中の人が今示せるものは(考えが足らなかろうがなんだろうが)示しておこう、という感じです。示してどうなる、という感じもしますが、そうしないと気がすまない、ということでひとつ。

前回の一文をお読みになった方の中には「イマイチ焦点をぼかして書いてる」という感想をお持ちになった方も居ようかと思います。あの一文は内容的には起承転結とした場合の起・承にあたる部分で、その後をすっぱり切ってまとめようとしたために、重要な点がぼかされた形になってたわけです。転・結の部分は機を見ていずれ… と思っていたのですが、ことここに至れば是非も無し、ということで今回がその転の部分にあたります(「結」はまだ「無い」ので書けません)。

すなわち創発により何がプレイヤーにもたらされたのか、そのプレイヤーの集合(ハンター達)はどのような地平に立っているのか、今回はそういうお話です。


モンスターハンターの不思議な点に、一緒に狩りをするととたんに仲良くなってしまうことがある、というものがあります。もちろん他のRPGタイプのネットゲームなんかでもあることでしょうが、ことモンハンにおいてその傾向が著しいことは、ハンターなら誰しも思いあたることでしょう。ポータブルなんかではさらに顕著にこの傾向があり、顔を突き合わせて狩りなんかやったら、その場でお友達です。子供達の間でMHPシリーズが爆発的な人気を博したのも、本当はここに理由があるのでしょうな。
そこには、何か他と違うものがあるのか、と問うならば、「ある」と中の人は答えます。そこには他のネットワークゲームや、ゲーム以外のコミュニケーションツールとは異質のものがあります。
ではそれは何かと問うならば、中の人は「暗黙知の領域」を実質実装してしまったことにある、と答えます。

そしてここには、これまで意図的にぼかしてきた「創発の帰結」が存在します。

暗黙知の領域

また面倒くさい概念の解説から入ります。別段衒学趣味があるわけではないのですが、事象の先端に起こる事例の考察にはある程度の「常識はずれ」がないと取り組み難い、ということでご了承下さい。

暗黙知というのは、要するに形式化(記号化・言語化)できないが、感得・継承はできるといった知識・経験(すなわち情報)を表す言葉です。良く引き合いに出される事例としては、自転車の乗り方、というものを形式化することは困難だが、乗れる人の中にはその「知(情報)」がすでに存在している、というものですね。どこの筋肉がどう収縮して…という具合に自転車に乗ることのできる仕組みを言語化することは困難でも、自転車には乗れますね。

ネットを引き合いに出せば、チャットと日常会話を比べると一目瞭然です。面と向かえばすぐに伝わるものが、チャットを通してではなかなかに伝わり難い、ということはみなさん日々ご経験でしょう。
この際「面と向かった」会話では、相手の発する言葉(形式化された言語情報)以外に表情・声色から身振り手振り、またはそこに至る相手と自分の行動などを総合的な材料として「理解」を行うわけです。この際得られる情報の総体は膨大すぎて形式化することはできませんが、まさにその存在によってわれわれは「理解」を行っているわけです。

これが暗黙知と言われる、形式化された情報の背後にあって、人の「理解」の本質を支えている情報の総体です。

さて、なんでこんなものを引っ張り出したのかと言いますと、モンスターハンターの開発にあったと想定される創発(前回記事参照)、その帰結のひとつが、この「暗黙知」の領域をプレイヤーの操るキャラクターに備えさせるに至った点にあると考えるためです。

モンスターハンター内に居るキャラクター。そのそれぞれは、プログラムが提供する表現の幅を超え、それを操る人の情報を表現しています。RPGにおけるプレイヤーを思えばその差が良く分かるでしょう。通常ゲーム内に現れるキャラクターは、チャットによる発言を除けば、ほとんど数値の集合です。一方でモンハンにおけるキャラクターがそれぞれを操っている人の人となりをいかに表しているかは…ハンターの方には多言の必要はないでしょう。

何がそれを可能としたのか。ハンターの造形や動作プログラムには別段特殊なものはありません(センスは頭抜けてますが)。その要因はハンターを取り巻くすべての構造にあります。

あるクエストの要請に対して、どのような武器を持つのか、どのような防具を着るのか、仲間に何を要求するのか、スタート後何をするのか、(そしてここからがもっとも重要ですが)飛竜の動きにどう反応するのか、どういう手順を踏むのか、仲間の動きにどう反応するのか、仲間の要求にどう反応するのか、クエストの成功(失敗)にどう反応するのか、以上を踏まえて次回はどうするのか…このような際限なく出現する選択肢へのリアルタイムの選択(ほとんど無意識的な)の連続と、そこに上乗せされる言語表現(チャット)が、そのキャラクターがデータとして持つプロパティを大幅に越えた「暗黙知」に近い情報体を出現させるのです。「無意識的な」と書いた通り、モンハンを構成する要素のすべてが、ユーザーに「素の反応」を繰り返させるバランス・構造を完成させていたが故に、これが可能となりました。

こうしてプレイヤーは、モンハンの中に「ハンター」としての自分を見つけ、狩りをしていくこととなります。

モンスターハンターの世界にあって、初対面のハンターの何を見るか。何を装備しているか、ランクはどうか、どんな話をするのか…そのようなことは部分に過ぎません。「どんな狩りをするのか」そこを自然と見ます。これはデータとしてまったく存在しない部分です。あるいは格闘ゲームなどではそうかもしれません。しかし、あれもまた技とその連絡の「型」の集合を見ているに過ぎません。ハンターの「狩りのスタイル」から、地続き的にそれを操作している人間までを自然と見てしまう。この様なコミュニケーションのあり方は、かつてなく、未だありません。

プレイヤーの操るキャラクターに「暗黙知の領域」を備えさせてしまったモンスターハンター。これはプレイヤー同士の深い相互理解を発生させると同時に、「ハンター」という自己発生的な時間軸上への情報の集積を生み出しました。

狩りのスタイル

そのような「ハンター」の情報は、データにはない、と書きました。ではそれはなんなのか。
それはそのハンターのその時点までの狩りの総体です。狩りの歴史のすべてです。それはデータという「空間軸に転写された」情報にはならない、「時間軸上に存在する」情報、真のプロフィールです。

ここで「武器について」でぼかしていた、あのお話の核心がひとつ明らかになります。
モンスターハンターにおける武器は相棒と呼べるほどの存在感があった、と書きました。しかし、それはなぜなのか。苦労を軽減する武器の乱発ではなく、苦労を収斂させる武器が必要だと書きました。しかし、それはどういったものなのか。

それは、武器そのもののデザインという範囲で完結するものではなく、上に述べた「ハンター」という存在の出現と、そこに内包される狩りの歴史・暗黙知の集合を反映する位置に武器が来る、という全体的な構造が可能とするものです。
すなわち、「何が正解か分からない」条件にあって、どの武器を選択するか、どのように狩りを進めるか、どこを狙って攻撃するか…このような選択の繰り返しが収斂した結果が「相棒としての武器」であり、そのハンターの狩りのスタイルを映す「鏡」足り得るのです。空間上に転写して表現できない、時間軸上にある「狩りの経験」「狩りのスタイル」。それが、幻でなく、実際に存在することを象徴するのが、モンハンにおける「相棒としての武器」なのです。

だから、モンスターと1対1対応で用意される「苦労を軽減させる武器」は、選択を生まず、狩りのスタイルを生まず、ハンターの鏡にはなり得ません。限定的な装備でなければクリアできないクエストをいくら積み重ねても、「ハンター」は構成されないのです。同様な問題が「肉質の均質化」にもいえます。これでは「どこを狙うか」という選択が発生しません。そこを手探りで探してゆく過程こそが、「ハンター」を生むのです(これはその結論が正解か否かを問いません、つまり上手・下手を問わず、選択が繰り返されれば「ハンター」は出現する、ということです)。
このあたりの問題は「プレイヤースキル」が発揮できなくて「つまらない」という次元の問題ではないのです。もとよりその仕組みは、上手下手の差を生み出す仕組み、という範囲を超えています。そこに「選択」をする余地がないと、ハンターはハンターとしての自己を確立・維持していくことができない。これは、プレイヤーがモンスターハンター内に「ハンター」を出現させられるか否か、といったゲームの根幹を揺るがす問題です。

余談ですが、シリーズの開発過程では、「マニアックなヘビーユーザー」から「新規のライトユーザー」へ門戸を開放する、という名目で、この「選択肢」の削除を意図的に広げる試みが取られている、と思います。属性の偏重や、肉質の均質化、装備重視のバランス調整、などは皆これにあたりますね。
しかし、先に述べた様に、プレイヤーに選択を迫る構造は「マニアックなヘビーユーザー」がありがたがるものというだけでなく、「ハンター」を生み出すこと、そのものなのです。ライトユーザーであっても下手っぴハンターであっても、「ハンター」はこの選択の経験の集積(暗黙知の領域)無しに生じません。

問いましょう。
「ハンター」が生まれないモンスターハンターに、いったいなんの魅力があると言うのか。

モンスターハンターの創発の帰結は、すべてハンターの暗黙知の領域に集積します。ハンターの存在無しに、モンスターハンターは自身の表現形を外へ持ち得ません。それぞれのハンターの狩りのスタイル、その集積がモンスターハンターそのものなのです。
簡潔に述べるならば、モンスターハンターとは、ハンターが狩りのスタイルを発現させるゲームです。そのスタイルの発生無しに、このゲームはそもそも成立のしようがないのです。
プレイヤーに自身の判断をあまり迫らない様な…というのは、「マニアックなヘビーユーザー」を減少させる措置にはなりません。それは、モンスターハンターそのものを成立させなくする措置なのです。

Ace in the hole

ここで象徴的なお話をひとつ。
ミナガルデを有する西シュレイド王国の王都ヴェルドでは、人々はモンスターの存在を直に見ることもなく、飛竜が飛び交う様などおとぎ話くらいにしか思っていないのだそうです。軍部などは、辺境に集まるハンターを「モンスターなどという世迷い言を隠れ蓑に武力を蓄える不穏分子」くらいに思ってるそうなのですな。しかし、ハンター達は、日々狩りを続け、辺境の地を駆け巡っています。

あるいは、現行システムを運営している人たち、経営している人たちは「モンスターハンター」が「存在」することなど信じていないのかもしれません 。ハンターがハンターとしての存在を主張するなど、笑い話しに過ぎないのかもしれません。むしろ、そのような発言を疎ましく思い、プレイヤー−プログラムの単純な図式にモンハンを納めるべく、「もっと単純にしろ」と迫っているのかもしれません。

しかし、良いですか、ハンターの持つ「暗黙知の集合」「狩りのスタイル」が「モンスターハンター」を外にひらける唯一の経路であるならば、ハンターは自身がハンターであることによって、「モンスターハンター」を眼前に出現させることができるのです。
大袈裟な話でもなければ、おとぎ話でもありません。これは今現在まさにMHFで起こっていることです。ハンター達は、MHFの中に「モンスターハンター」を出現させて狩りを行っています。

データに転写できない、時間軸上に展開する情報体というのは、そういうものなのです。環境が断片に分断されて、その総体としての面目を失っても、そこに点在するかつての核を自らのハンターとしての暗黙知に応じてつなぎあわせ、世界を再構成する。

だから、ハンターがハンターであることを止めない限り、モンスターハンターはモンスターハンターであることを終わらせることはできません。これが、われわれの「Ace in the hole」…最後の切り札です。

今、それぞれの狩り場において、それぞれの狩りを続けているすべての「ハンター」が、モンスターハンターの表現形そのものです。彼らの日々の狩りと、その記録の集積が「モンスターハンターがなんであるか」を照らす光となるでしょう。
このサイトの冒頭に掲げた詩の一部は、飾りではありません。(※)

私には、祈ることしかできない。
この道を一歩ずつ、しかし力強く歩む者たちの幸運を。
そして、彼らがその先に、それぞれの答えを見出せることを。

(『ハンター大全』「ある吟遊詩人の手記」より)


※当時のサイトトップにこれが掲げてありました。

結末へ向けて

「Ace in the hole」…最後の切り札と書きました。これは別段格好を付けたわけではなく(笑)、その言葉の象徴性をとったものです。ポーカーにおいて配られる1枚の伏せ札。そこにエースがあるならば、それは切り札足りうる、ということですね。
ここに象徴性を見た様に、今現在のわれわれの切り札はまだ「伏せられた」状態にある、と考えています。

ここで少しこのサイトのことをお話ししましょう。
この前後編の「明日へ架ける橋」に書かれたことは、中の人がMHP1st2ndをプレイする過程で考えてきたことではありますが、その青写真はすでに始める前にありました。その予感がそもそもモンハンをやる理由となったことはこれまでにも再三述べた通りです。
そして、ハンターの狩りの歴史そのものが、モンスターハンターがモンスターハンターであり続ける最後の切り札になりうる、という結論を持って始めたのがこのサイトです。だからここにはひたすら狩りの様子が延々と記録されているのですね。そして、このようなハンターの狩りの記録(HUNTER's LOG)の集合が、未来のモンスターハンターの基盤のひとつになる、という予想が、これから書かれるであろう結論であり、このサイトの最後の役目です。

しかし、あまりに漠然とした集合では「基盤」になりませんし、そこにどのような「再編成」が起こるのか、また、起こらせたら良いのか、そのあたりがまだ霧中、ということです。単純に欧米なんかでありそうな「全国ハンター集会」みたいなトップダウン式の組織づくりなんかとはまるで違うものになるだろう、というくらいのことしか見えませんね。
「ハンターの世界」において「モハ辞典」を紹介したのは、ハンターが自身の狩りのスタイルを構築していく上で必要となる、シリーズを通してのモンスターハンターの世界観があの様に提供されていくことへの大きな期待があったからです。これが世界観のみならず、ハンターの狩りのスタイル全般の交換の場が提供されてゆくことになったら良いのかもしれませんし、ま、何とも言えません。

いずれにせよ、現行のブログ・サイトの集積では、あまりにも「その日」のことしか見えないきらいがあります。このあたりも、たとえばA-Gunner氏の「あるヘビィガンナーの生涯」様などは、はじめから全体を通した編集がされている出色の存在と言えますが、なかなかそういう例もないですね。

さて、どのような結末にいたるにしても、そのためにはまだまだたくさんの狩りの日々の経験と、それをウンウンいってまとめていく日々が必要なのは、今のうちのサイトのデキを見れば一目瞭然ですな(笑)。
2回にわたってお届けした「明日へ架ける橋」は、一旦ここで幕をひきますが、明日からはまたビッケというハンターの物語が延々続きます。
その集積が「モンスターハンター」の礎となることを願って。

おわりに

まずはおなじみの猟団の皆様、
Nasca様、NoI様、ヴぁイ様、タキテソ様、サナダ様。
少々見え透いた煽りにおつきあいいただきまして、大変恐縮でした(笑)。こういった文章は、まわりの反応がないまま書き進めると、確実に煮詰まりますので、皆様の反応に大変救われました。お騒がせいたしました。

また、「麻痺よろ^^;」「モノキャスなので」のジジィ様。
大変なハンター様にご紹介をうけた、と泡を食いましたが、「書けるとこまで書こう」と思うことができました。KEN様へのお返事、中の人はしかと読みましたぞ(笑)。期待せずにはいられませんよ?

さらにこのサイトとしては異例のアクセス数が続いていますので、おそらくあちらこちらで紹介して頂いているものとおもわれます。すでに全貌を把握できる数を超えてしまっているので如何ともし難いのですが、ありがとうございました。
一人でも多くのハンター様に読んで頂きたかった一文なので、書いた甲斐があったと思うことができました。

さらにさらに、直接メールでご感想を送ってくださいました皆様。ありがとうございました。なぜかそろって「非公開」なのが不思議ですが(笑)。多くの方に共通していた「ハンターには、では何ができるのか」という疑問に、この後編が何らかの答えになっていたらと思います。

それではこれで本当に幕です。
長々と回りくどい文章におつきあいいただき、大変恐縮でした。

すべてのハンターの皆様が、今日も良い狩りを続けられることを祈ります。

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