防具のイメージ
村の子ビッケ Tools
ハンターの身を守る防具。
このチョイスをどうするのか、というのも「スキルだろjk」「いーや、見た目だね」あたりが日々バトルを繰り返してますが、この辺で閉じちゃうというのもあまりおもしろくない。ましてやソロプレイでそれに終始する必要などさらさらない。
防具に限らず、ゲーム内のアイテムというのは出っ張りではなくヘッコミであると捉えた方がおもしろい。その特徴(スキル・見た目など)が出っ張ってその存在を主張しているのではなく、その形に凹んでおり、そこにまわりの色々な要素を折り畳んでいける、というわけなのです。ある武器にそのハンターの狩りの歴史が折り畳まれてその武器は相棒となる。あるモンスターにその住まう環境の一切が折り畳まれてそのモンスターはその地域の王となる。
防具もしかり。
その防具に折り畳んで行ける要素が上手に目前の狩りの結構にフィットした時、その狩りはまたひとつ厚みを増すことになります。
地域を折り畳む
詳しくは「地域色という発想」を参照のこと。ハンターの活動エリアを限定するならば自ずから防具は限られてきます。限られてきますが、これを「縛り」と考えるのではないのです。その土地に育つハンターは、その土地に暮らす人々は、何を頼りとするだろう、何を着ることを自分の土地の誇りとするだろう、そう考えるのです。それはまた「イメージギャラリー『孤島の景観02』」で述べた「最高の贈り物」をしてくれるモンスターはその土地にあってはどいつか、ということでもあります。
例えばドドブラの防具なんかは雪山に育ったハンターにとっては「とっておきの防具」なんだと思うんですよ。あるいは「よそ行き」とでも言いましょうか。性能云々でなくて雪山を象徴する王の防具なんです、あれは。
だからそれを着てドンドルマとかに行って、「それは何の役に立つのか」とか言われたら怒るでしょうね(笑)。雪山なめんな、と思うことでしょう。育った土地へのプライドが折り畳まった防具。そういうチョイスはあって良いと思います。
環境を折り畳む
"a side story" のヒプノック篇でビッケがレイアSを着てましたが、あれは密林という環境を鑑みてのことでした。
母の昔の狩りの話に、その密林(メタペ湿密林)でいかにレイアが見え難かったか、というものがあったわけです。
これは、その土地に良くなじんでいるモンスターベースの防具はその土地の狩りにも有効であろう、という視点です。このケースではその色から迷彩効果を狙った樹林にとけ込んで、ということなんですが、もっとマニアックに樹林地帯の月夜にはガルルガが良いんだ、なんてのも良いですね。
無論視点は迷彩効果だけではありません。ガレオス防具が砂漠の暑さを緩和する。イーオスの防具が毒の沼からのダメージを緩和する。など、その土地の厳しさを緩和するものもあります。
具体的なスキルや見た目と関係なくても、例えばディアやモノの防具は「砂漠の砂嵐に耐えるんだ」なんて考えても良い。ナルガの「回避性能」はナルガが込み入った樹海の木々に引っかからない体型に進化してきたことを受けているのでしょうが、だからナルガ防具は樹海・密林の木々を縫って走るのに良いんだ、なんて考えも良いです。
つまりこれらは防具のゲーム上の性能ではなく、そのフィールドがどのようであるかを自分がどう理解しているかを象徴する防具のチョイス、ということです。
分散された難易度
防具に手間をかける、という所までやるならこの視点が際立ってきます。
まず、その防具の「仕組み」という点が重要となります。例としてフルフル防具とザザミ防具をあげます。
「ビッケのメモ帳」の「アルビノエキス」に書いた様に、フルフルの防具が回復系のスキルを発生させるのは、その構造が三層になっていて、中間に「アルビノエキス層」を挟んでいるからだ、と中の人は考えています。
で、この「アルビノエキス層」というのは劣化する。特に強い直射日光や熱に弱く、砂漠や火山で使うと劣化してその能力が減衰してしまう。
だから砂漠・火山じゃ使わない…ではなくて、逆に使うのです。あちこちで述べた様に中の人はクーラードリンク不可の縛りを良くやるのですが、ただマゾく耐えるのでなくて、緩和する知恵として回復系のスキルを使う。
この砂漠・火山でのフルフル防具の使用と、それによる防具の劣化をあわせると、そのケースでの使用前ないし後にはフルフル防具のアルビノエキス層を更新しないといけない、という手間が発生します。本当にフルフルを狩ってアルビノエキスをパーツ分確保します。
この手間が、砂漠・火山という過酷なフィールドが提示する難易度の分散先として組み込まれて来るのです(「難易度の分散」に関しては「狩りのマトリクス『進行とストーリー』」参照)。
ザザミの防具というのも全体的な発想は同様。この防具は骨や金属に対して大変柔軟な質である甲殻類の甲殻という点がポイントです。この素材で防具形状を工夫するとガード時に前腕→上腕→肩→体幹の防具のプレートが一体となり、その衝撃を吸収してしまう。それがガードスキルを発揮するザザミシリーズなんである、と。
でも、あまりに強力な圧縮作用が続くと、その柔軟性も劣化してしまう。だから一定期間でその柔軟性を取り戻すために「モンスターの体液」を使ってオーバーホールしないといけない、みたいな。これはもうガード性能頼みのランス・ガンスでの狩りの後は必ずランゴ狩りに行って、そうするわけです。
ガード突き、というのはともすればハンターにリターンのありすぎる戦法ですが、こういった形でその全体の難易度を保持して行くわけですね。
これが、防具そのものに「仕組み」と「劣化」の概念を与えて、難易度の分散先の受け皿にするという視点です。
これらの必要とは
無論実際ここにあげたことをやれ、やるべきだー、というんじゃないですよ?
ここでひとつ提言しておきたいのは、モンハンもメジャータイトルとしてリリースされて行く以上は一定以上マニアックな仕様は盛り込まれないのだ、ということです。「壊れる武器・防具」なんて本当に実装したら天をも砕けよとばかりの大騒動になります(笑)。あたしあたりはもう防具あたり壊れるとは言わないまでも一定以上使用したらオーバーホールのために追加素材が必要になる、位でも良い、ていうかそうならないかしらとか思います。でもまあ「んなの冗談じゃねい」というのが多勢でしょうし、商品としてはそちらにあわせるのが当たり前でしょう。
だから、そういう水準以上のものは「そうならないかなー」と思っていてもならない。ならないものとして自分でそれを織り込んで行くやり方を作って行かないと、その部分はずっと遊べないままになります。
もし開発陣が無制限にマニアックにこだわったものを作ることを許されたら、というのは実際には開発陣には許されません。その方向への「モンスターハンターの可能性」を表現して行くのは我々ハンターの役目なのです。
開発陣からハンターへ渡されるバトン。
それは間違いなくあります。